環境負荷の最小化

私たちは環境保護を重要な社会的使命として捉え、未来世代により良い地球環境を残すために、技術革新や持続可能な事業運営を推進することで、環境負荷の低減を目指しています。

低炭素社会の実現 CO2 ▲50%

低炭素社会の実現に努めており、「省エネ」と「創エネ」の両面から二酸化炭素排出量の削減に積極的に取り組んでいます。エネルギー消費による二酸化炭素排出量を2030年までに2014年度比50%削減(原単位:排出量/付加価値)することを目標としています。また、今後の投資の際に、二酸化炭素排出量を費用換算して判断基準に組み入れることを検討しています。

省エネルギー

エネルギー効率を向上させるための設備やシステムの導入や、製品設計のレベルから省エネルギーを考慮し、より効率的なエネルギー利用の実現に努めています。エネルギー消費量の削減は二酸化炭素排出量とエネルギー費用の両方の削減につながることから、環境保全と経済的なメリットを同時に実現することができます。

蒸気配管の保温ジャケット取り付けによる、熱源利用の効率化

創エネルギー

主力工場である昭和事業所の駐車場などに太陽光パネル発電設備を導入し、2022年4月より稼働を開始いたしました。また、独自開発した廃液燃焼ボイラーは、これまで廃棄していた塗料ロスを効率的な燃料として使用することで廃液量を削減します。また、これまで蒸気を発生させるために天然ガスを使用していましたが、廃液燃料ボイラーで発生する蒸気を利用することで天然ガスの消費量も削減しています。これらの新たなエネルギー源の活用によって二酸化炭素排出量の削減を実現します。

昭和事業所の太陽光パネル発電設備

廃液燃料ボイラー

循環型社会の実現 廃棄物 ▲30%

循環型社会の実現に向けて、すべてのプロセスから排出される廃棄物を2030年までに2014年度比30%削減 (原単位:排出量/付加価値) することを目標とし、その実現には「発生の抑制」と「リサイクル」の2つのアプローチを継続的に推進しております。

発生の抑制

製品デザインの工夫や、工程改善・管理の徹底によりムダを極力つくらず、廃棄物を排出しないよう努めています。また、品質を保持しつつ軽量化を可能とする製品設計により、廃棄物発生の抑制に取り組んでいます。

リサイクル

フィルム製膜時の製造工程で出る不要部分を原料として再利用し新しい製品を作るリサイクルにより、廃棄物削減に取り組んでいきます。

工程ロス材をリペレット化し材料として再利用

自然共生社会の実現 環境負荷物質 ▲30%

自然共生社会の実現を目的として生産プロセスにおける有機溶剤の使用量を2030年までに2014年度比30%削減 (原単位:排出量/付加価値) を目指しており、製造時のロスの削減と低用量の有機溶剤による製品設計に取り組んでいます。

有機溶剤がなぜ環境に悪いのか

蒸発(揮発)しやすく大気中で気体となる有機化合物の総称をVOC(揮発性有機化合物)といいます。

VOCは大気中で化学反応し、人間を含む生物に影響を与える粒子状物質や光化学オキシダントを生成するため、排出削減に取り組む必要があります。

使用量の削減

製造時の歩留まりを向上させることで、有機溶剤をより効率的に利用し、全体の使用量の削減を目指しています。これにより環境負荷物質を削減し、製造プロセスをより持続可能なものとしています。

低用量の有機溶剤の加工技術や製品設計

低用量の有機溶剤で製品製造を可能とする設計や、有機溶剤を使わずに製造する技術の実現をつうじて、環境負荷物質の削減に取り組んできました。更なる対策として、接着剤を必要としないラミネート技術に取り組んでおり、将来的に様々な製品に展開していきます。

2014年度(基準年)2022年度 実績2030年度 目標
二酸化炭素排出量の
削減
2.502.66
(106.6%)
1.25
(50.0%)
廃棄物の
削減
0.21380.3202
(149.8%)
0.1497
(70.0%)
有機溶剤使用量の
削減
0.48020.4735
(98.6%)
0.3361
(70.0%)

2022年度では、原材料およびエネルギーコスト増加の影響から大幅な減益となり、原単位(排出量/付加価値)による実績は上昇しております。

今後は、省エネや創エネといった自社努力の拡大に加えて、再生可能エネルギーの外部調達や非化石証書の活用によりCO2排出量削減の目標を達成する予定です。廃棄物については、2023年度中に導入予定の設備によって廃棄物を再加工しサーマルリサイクル燃料として製品化することで、削減目標達成の見通しです。有機溶剤については、すでに製造プロセス上で大気放出を防ぐ設備を導入しておりますが、引き続き製品設計や工程開発、施設内循環(再利用)等による使用量削減計画を推進してまいります。

TCFD提言への対応

当社グループでは “ZACROS GROUP CONCEPT” を策定し、『次の世代に誇れる未来をつくり続ける』ことを目指していますが、気候変動はこの実現に対する大きなリスクといえます。当社グループでは、この気候変動によるリスクに対応するとともに、環境保護に貢献する事業を拡大する機会と捉え、積極的に活動を推進していきます。当社グループはTCFD提言に基づき、気候変動に関連する情報開示を行い、投資家との対話を行っていきます。

1.ガバナンス

当社グループの取締役会は、気候変動問題への対応を重要な経営課題の1つとして認識しており、気候変動対応への取組みに対し監督を行っております。具体的には、取締役会や経営戦略会議などの会議体において、経営戦略や経営計画等に関し、気候変動問題に関する「リスク」や「機会」を踏まえた審議を行っており、必要に応じて各事業部・各部門から報告を受け、監督を実施しております。

加えて、当社グループはサステナビリティをグループ全体の経営課題として明確に位置づけ、マテリアリティ(重要課題)に対する取組みを推進するために、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しており、取締役会の監督のもと、環境対応(気候変動、環境負荷物質削減等)を含めたサステナビリティに関する活動を推進しています。サステナビリティ委員会は、取締役会に対しサステナビリティに関する状況を定期的に報告し、その指示・助言を受けることとしています。

ガバナンス体制図

2.戦略

TCFD提言のフレームワークに基づき、2030年までの気候変動がもたらすリスクと機会を特定しています。より高いリスクに対応するため、移行リスクについては2℃のシナリオ、物理的リスクについては4℃のシナリオで分析を実施しました。

<2030年を想定した財務影響および対応策> ※財務影響の評価は当社単体を対象としております。

リスク内容財務影響対応策(例)
移行
リスク
(2℃シナリオ)
政策と法脱炭素化対策に係る設備投資等対応コストの増加●当社は2030年までにCO2排出量を原単位当たり*50%削減(2014年比)を目指します。
*原単位:CO2排出量/付加価値

●エネルギー利用については、再生可能エネルギーの導入や低炭素原燃料等のクリーンエネルギーへのシフトを進めるとともに、省エネルギー設備の導入等を通じた生産の効率化を進めていく計画です。

● バイオマス由来やリサイクルなど、炭素税や輸出規制による影響を受けない代替材料の活用を推進する一方、原材料コストの削減にも努めます。
炭素税導入や輸出規制による原材料価格上昇に伴う原材料仕入れコスト増
代替材料(再生プラなど)使用による原材料コストの増加
炭素税導入による税負担の増加
エネルギーコスト(電気代等)の増加
クリーンエネルギー(電力、ガス等)購入コストの増加
輸送コストの増加
テクノロジーリサイクル製品開発コストの増加●リサイクル製品開発は市場動向を踏まえて推進し、開発コストの効果的な回収に努めます。

●回収やメンテナンスの実施にはコストを伴いますが、詳細なコスト管理を行い、収益に対するリスクを軽減してまいります。
回収・メンテナンス(再生)費用の増加
市場環境配慮型製品/低炭素排出製品の開発遅延による販売機会の逸失●環境配慮型製品の開発強化(モノマテリアル製品、蓄電池関連、ゼロエネルギー住宅/ビル関連製品 等)を行います。
石油由来材料を利用した製品の市場縮小による収益の減少●短期的にはリスクとなることを想定しておりませんが、中長期的なリスクとして認識しており、市場の動向を注視してまいります。
評判気候変動対応遅延からの評判悪化による売上減少、ダイベストメント、株価下落●株主や投資家の皆様との気候変動に関するコミュニケーションを強化しながら、適時適切な情報開示を行います。
物理的
リスク
(4℃シナリオ)
急性自然災害による拠点・従業員等への被害発生、操業停止、生産減少、設備復旧コスト増等●各拠点における異常気象物理的リスクを詳細に把握しながら、BCP策定や保険の導入、リスク管理を徹底してまいります。また、原料調達拠点の複数化や分散化を推進しております。
サプライチェーンの分断による原材料供給停止、収益減少
慢性平均気温上昇による従業員の生産性悪化、冷房コスト増加●デジタル技術を活用し、効率的な労働環境の整備を行い、社員の健康管理等を強化していきます。
※財務的な影響度を定量化しておりませんが、全社的な影響度が大きいと考えリスクとして管理しております。
機会内容財務影響対応策(取り組み)
機会資源効率自動化設備や省エネ生産設備の導入によるエネルギー使用量削減及び製造コストの削減●2030年までのCO2削減目標の達成に向けて製造や輸送の効率化を行うことで、収益の向上につなげてまいります。
積載率向上や輸出手段の鉄道・船・電気自動車への転換等による物流効率化向上、コスト削減●輸送においては、より環境にやさしい輸送手段への転換を進めるとともに、積載率の向上を行うことで、CO2の排出抑制及び輸送コストの削減を行います。
リーンな工程設計・単一工程化などエネルギー効率の高い工程設計によるコスト削減●単一工程化等を推進し、生産効率を高めることで、省エネルギーかつ低コストによる生産体制を目指します。
単一素材による製品ラインナップ強化によるリサイクル製品の売上拡大、製造コスト削減●モノマテリアル製品の開発に注力し、廃棄が少なくリサイクル効率の高い製品設計を行うことで、効果的に原価低減を実現します。
エネルギー源脱炭素化対策への対応による炭素税負荷低減、公的インセンティブの活用●CO2削減を推し進めることによる炭素税の負荷軽減に加え、公的インセンティブの活用を積極的に行い、事業へのメリットを見出します。
省エネ活動、安価で高品質の再生可能エネルギー・水素の調達、リサイクル活動の強化による企業イメージ向上●CO2削減への積極的な取り組みを行うことで企業イメージの向上を図り、お客様から取引先として選んでいただくことで、売上高の向上を目指します。
製品とサービス顧客製品のCO2排出削減に貢献できる製品提供によるビジネスの獲得・売上増加●ニーズが高まる環境配慮型製品を積極展開することで、収益の向上を目指します。
モノマテリアル製品、リサイクル製品
EV・再生可能エネルギー等に用いる蓄電池関連製品
・ゼロエネルギー住宅/ビル化に伴う空調関連製品
・次世代太陽光発電設備の販売

●また、CO2の吸収・固定化等のカーボンネガティブに資する製品や事業について検討を開始しており、将来的な競争優位の獲得を目指します。
市場低炭素製品や再生可能性品・サービスによる新市場開拓、新興国の脱炭素化ニーズが高まり参入機会が拡大●脱炭素化のニーズが今後高まっていくと考えられる新興国を中心とした地域への進出を積極的に行うことで、グローバル規模での収益拡大を目指します。
レジリエンス暑熱対策関連事業の拡大、感染症対策関連事業の拡大、水・食料供給関連事業の拡大、災害に強い住宅ニーズの高まり●暑熱対策や感染症対策、水・食料供給、災害対策に関する製品の売上拡大を目指します。
・熱マネジメント関連製品
・熱効率の良い建材関連製品
・医薬品製造用資材関連製品
・細胞培養技術関連製品
・災害対策に効果的な膜材製品
災害対策製品需要の増加に伴う関連製品(遮水シート、膜材製品、EC品等)の用途拡大・販売拡大
※財務的な影響度を定量化しておりませんが、全社的な影響度が大きいと考え機会として管理しております。

3.リスク管理

気候関連リスクの分析・特定・評価についてはサステナビリティ委員会が中心となり、実施しております。具体的にはサステナビリティ委員会の委員長に任命されたサステナビリティ推進責任者が、各部門長であるサステナビリティ推進委員を通じて気候変動関連リスクの分析、評価、特定を行い、その対応の実施状況を監督し、サステナビリティ委員会に報告しています。サステナビリティ委員会は代表取締役社長を委員長としており、報告された気候変動関連リスクについては、適宜、必要に応じて各事業部門等に対応策の指示・報告等を実施しております。
また、当社グループではコンプライアンス・リスク管理委員会がグループ全体のリスク管理を統括・推進する体制としており、各種リスクを定量的に把握し、対応を進めております。サステナビリティ委員会とコンプライアンス・リスク管理委員会は両委員会とも代表取締役社長が委員長を務めており、気候関連リスクに関しても連携して対応しております。

4.指標と目標

当社グループはCO2排出量目標を以下の通りとします。
2030年度:CO2排出量(Scope1 + 2)の2014年度対比で50%以上の削減(原単位:排出量/付加価値)
2050年度:カーボンニュートラル(Scope1 + 2)

当社グループでは、気候変動対策には事業活動によるCO2排出量の削減に加えて、社会のCO2排出量の削減に貢献する技術開発や事業推進が重要と考え、グループ全体で取り組んでいきます。

<CO2排出量の推移とCO2排出量削減策>

当社は、情報電子事業本部の主力工場である昭和事業所(群馬県昭和村)の駐車場などに太陽光パネル発電設備を導入し、2022年4月1日より稼働しております。引き続き、各事業所において、太陽光パネルの導入や省エネルギー設備の導入などによるCO2排出量削減策に取り組んで参ります。